美しいものに反応できるか?
秋も深まってきました。
サツマイモが美味しくて、毎日トースターでチンして食べている私です。
さて、今日はレッスンで生徒と歌をうたっていた時、嬉しいことがあったので書きます。
その時は譜面が1冊のみで、生徒は、私が弾く横から譜面を覗き込んで歌っていました。
1回めはリズムや音を間違えずに歌うことで精一杯。
しかし2回めは自然な強弱がついて「美しい音楽」になりました。
こういうことは教える側から言うとあまりないことで、素晴らしい瞬間なのです。
誰もが目指す境地ですが、簡単に出来ることではありません。
「美しい音楽」の定義は?
どうやったら「美しい音楽」ができあがるのか。
まず、「美しい音楽」が何をさすのかを知らなくてはなりません。
美の定義は沢山ありますが、ここでの美しさとは、音楽家が当たり前のように共有しているベーシックな感覚と考えて下さい。
「なんて綺麗なメロディだろう」
「ここの和声いいなぁ」
言葉に出来なくとも、じわっとくる、ぐっとくる、ぞわぞわする、心が動く瞬間がありますよね?
あれです。
心を先に反応させることの重要性
では具体的な方法です。
とても単純ですが、音楽をもっと聴くことが答えにつながります。
演奏で最も良い状態は、心が先に反応し音になることです。
逆はダメです。考えてから作ったものはどこか嘘っぽい。
そして心を反応させるには自分の「美の基準」が必要で、それを作るのが「聴く量」です。
もし今、自分の表現力が乏しいと悩んでいるなら、音楽を聴く量が足りないのかもしれません。
前段の生徒さんも、小さい頃から演奏会に連れていってもらうなど、耳の経験が多い子供さんです。
どんなに熱心でもレッスンだけでは聴く量が足りないので、コンサートへ行き生演奏を聴いてほしいです。
今はレッスンを休みにしないと都内に出られない私も、若い頃はたくさん聴きにいっていました。
気に入った曲があれば、指揮者や演奏者の違うバージョンを聴いたり、楽譜を見ながら聴いたり(IMSLPを活用)、深めていけます。
最初は「これ聴いたことがある」で良い
ここ数年、生徒から「クラシックって長くて聴ききれません。」という声をもらうようになりました。
確かに、長く重苦しい音楽は時代と合っていないというのかもしれません。
しかし、クラシック音楽をやるなら、ソナタ、シンフォニー、レクイエム、オペラ、長い作品を避けることは不可能です。
その聴き方は、「経験していくうちに聴き方がわかってくる」という言葉しか浮かばないです。
最初は難しい批評などしなくてもよいです。「これ聴いたことがある」という軽い感覚で十分ですし、途中で飽きてしまってもいいです。
たまに「寝ちゃうから、チケット代がもったいなくてコンサートは行きません」と言う生徒がいますが、寝ても構わないので、その空間に居ることから始めましょう。
クラシックは聴くのにも練習が必要です。
沢山聴くとわかってくるから面白いです。
素直に「そういうことなら、まぁ聴いてみるか」と動ける人が先へ行ける人です。
耳を作らなければ先へいけない。(→上手くなれない。)
私もまだまだ聴かなくてはいけないと思い、機会を作るように心がけています。
◎ソルフェージュ教室・ラソラ◎
千葉県柏市で音大受験準備レッスンをしています。