なぜ聴音をしなくてはならないのか?
ソルフェージュと聞いて最初に思い浮かぶのが、「聴音」だと思います。
なぜ「聴音」をしなくてはならないのか?
結論から書くと、聴音が出来た方が多くを得られるからです。
まず「聴音」とは何か?
ご存じの通り「音を聴いて楽譜に書きおこすこと」です。
音大生になぜこのスキルが必須とされているかは、英語に置き換えてみるとわかります。
「ワタクシ英語はペラペラですが、文字は書けません!」
と言われたら、少し違和感を感じませんか?
おそらく「この先もっと学びを深めたいのなら、文字も書けた方がいいんじゃないかな?」と助言されるでしょう。
音楽も同じで、もっと深く知りたいのなら、少しでも音符が書けた方がよいということになります。
さてこの「聴音」ですが、実は音大の中でも一番人気のない科目。
理由は簡単、出来が努力に比例しないからです。
ハンガリーで勉強していた時に、「耳の臨界期は6〜7歳だ」という話を聞きました。
ショックを受けましたが、音楽をはじめた年齢で音感習得度合いに差が出ることは肌で感じてきたので、納得できました。
ただこれが0か100かとパキッと分かれる話ではないのです。
私の生徒にも、遅くにはじめた子で苦労せず聴音出来る子がいましたし、逆に小さい頃から音楽をやっていて楽器はとても上手なのに、十分な音感が育っていない子もいました。
このように音感とは何か目に見えないものだからこそ、努力でカバーできない→出来ないから面白くない→人気がない!という構図が出来上がるのです。
ところで大人になってから聴音を頑張っても、変わらないのか?
これに関しての私の答えは、「経験した分だけ出来るようになる」です。
勿論黄金の臨界期は過ぎていますので、100にはなりませんが、10だったものを30にはできる。
そのプラス20を本人は実感できないかもしれませんが、先生にはわかります。
お、これは確実に聴こえてきている!
だから、努力する価値は大人であったとしても常にある、そう思っています。
聴音の勉強では、まず単旋律からはじめて、複旋律、三声、四声と音を足していきます。
単旋律の聴音が書けるようになるには、「リズム」「音程」が理解出来ている必要があります。
それは目で見てわかった気になっているだけではなく、声に出してみることで「あぁ、こういうことね!」と自分の感覚としてストンと納得できます。
声に出す、つまり「歌うスキル」がここで登場します。
歌う(=演奏する)というのは、またまた英語に置き換えると、喋ることです。
「英文は読めますが、正しく喋れないし、文字も書けません!」
こんな風に宣言されたら、大抵は「あなたは英語を専門にしているのに、それでいいの?」と言われてしまうでしょう。
ポイントは「専門」というところだと思います。
「音楽を専門に学ぶ」とは、どういうことか。
そのことを突き詰めて考えていくと、何を手にいれるべきか、必要なスキルが見えてきます。
ソルフェージュでは、今より素敵に演奏できるようになるための様々な技を磨いていきます。
どれも地味で、表には出てこないスキルですが、将来の皆さんを支える力になってくれるでしょう。
◎ソルフェージュ教室・ラソラ◎
千葉県柏市で音大受験準備レッスンをしています。