和声聴音にハミング作戦
「単旋律聴音はまぁまぁとれるけど、和声聴音は苦手!」
よく聞かれる声です。
私も学生時代には、実際は鳴っていない音、「幻の音」が聞こえていました。
誰でも経験があることだと思います。
幻の音の正体
実際は鳴っていないのに聞こえてくる幻ですが、およそ5つに分類できます。
1)他の声部と間違って聞いている
(幻のスタンダード)
2)最初は順調に書けるが、跳躍後に他の調へ移調されている
(2度ずれが多い、動きは追えている)
3)一拍ずれて書いている
(余裕がない時によく起こる事件)
4)耳が良すぎて倍音が聞こえている
5)まったく関連のない音が聞こえている
(弾いたら不協和音にギョッ!)
これらが1つだけならまだしも、2つ3つと混ざっていることもあります。
試してほしいハミング作戦
大前提ですが、和声聴音が苦手な人ほど、まずは和声を勉強しましょう。
開離とは何か、密集とは何かがわかるだけでも、かなり書けるようになります。
攻略のためには相手を知るべし、です。
その上で試してほしいのは、聴くと同時にハミングすることです。
ハミングの良いところは、自分の聞こえている音を声に出して確認できるところ。
確信の持てない音を決められたり、落としている臨時記号に気づくこともよくあります。
最初は戸惑うかもしれませんが、ぜひやってみてほしいです。
独学で出来ることは?
また独学の方法で効果があるのは、書き取った課題を弾き歌いすることです。
多くはソプラノとバスにサンドイッチされた内声が聞こえにくいので、テノールかアルトを歌い、残りの声部をピアノで弾きます。
ゆっくりと、自分の声(聞こえにくい声部)が他の声部とどういう位置関係にあるのか考えながら歌ってみると、和声で学んだことと実際の音が脳の中で結ばれます。
勿論「弾く」のも良いのですが、ピアノを習っている人なら手が先に動いてしまうので、深く考えずに弾けてしまいます。
ふたつのことを同時に行う「弾き歌い」は難しいですが、その分脳への刺激になります。
またもし「弾く」勉強なら移調をしましょう。
最初は2度上、2度下、ちょっと自分を騙しながらずらして弾くような感覚。出来るようになったら五度上など離れた調にも挑戦してみてください。
いつかはハミングなしでも書けるようにしなくてはなりませんが、ハミングしないと書けないうちは声に出してください。
なぜなら「自分の耳はまだその段階にある」ということだからです。
続けていくうちに聞こえる部分が少しずつ拡がっていくのがわかります。
いわゆる幻の音が減ると同時に、ハミングも減っていきます。
それをレッスンで一緒に体験できることは、私にとっても喜びです。
どうぞあきらめずに、トレーニングを続けていってください。
まとめ
和声聴音が苦手な場合、もし和声の勉強がまだならまず理論を知ることから。
その上で、「聴くと同時にハミングする」ことを試してみましょう。
書き取った課題をよく考えながら「弾き歌い」したり、「移調」することも役立ちます。
◎ソルフェージュ教室・ラソラ◎
千葉県柏市で音大受験準備レッスンをしています。