オスカー先生の稀有な趣味
前回、ハンガリー時代の恩師について書きましたが、今日は授業以外で見せる先生のもうひとつの顔について書きます。
残念ながら先生の家庭には子どもがいませんでした。
でも奥様のマンツィ・ネーニとは大の仲良しで、授業が終わるとすぐ家に直行、とても幸せに暮らしていました!
授業には重そうな黒の書類カバン(持ち手はちぎれる寸前)に腕時計、ベージュのコートに中折れ帽の定番スタイルで現れます。
暮らしぶりは質素でしたが、音楽に関しては出費を惜しまず、当時まだハンガリーでは個人所有の珍しかったPCをいち早く購入し、分析本の執筆に使用されていました。
先生が好きな作曲家はモーツァルトとバルトーク。理由は「どちらも楽譜を開く度に新鮮な驚きがあるから」。
そして趣味、それが「チェス」でした。
このチェス、対面のチェスではありません。
チェスの相手は会ったこともないドイツ人だというのです。詳しく尋ねてみると『手紙を送ると一ヶ月後位に返事が返ってくる。こちらもじっくり次の一手を考えて、また手紙を送るんだよ。』とにっこり笑うのです。とても楽しそう。
ん?なんだろう、これは自分もやったことがある….そう、『文通』です!
先生はこの、一手に一ヶ月かかるチェスを何年も続けているというのです。調べたらこの「文通チェス」は世界中のあちこちで楽しまれているそうですね。私が知らなかっただけでした。
90歳を過ぎ、少し目を悪くされましたが、今でもお元気で暮らしていらっしゃいます。とても嬉しいです。
ところで「オスカー」という名前、苗字だと思いますか?それとも名前?
次回はハンガリーの名前について書いてみます。
◎ソルフェージュ教室・ラソラ◎
千葉県柏市で音大受験準備レッスンをしています。