言わずと知れたシェイクスピアの戯曲、《ロミオとジュリエット》をベースとしたバレエについてです。

このバレエに使われる音楽として、チャイコフスキーとプロコフィエフがあり、今日はプロコフィエフを取り上げます。

プロコフィエフについて

ロシアの作曲家・ピアニスト。ロシア五人組の一人で、属する時代は「近現代」。
ウクライナ東南部、現在のウクライナ共和国ドネツク州出身。
比較的裕福な家庭で育ち、お父さんは農業技術者、お母さんはピアノが弾けた。神童セルゲイの才能に大人たちは感心し、その後も名の知られた教師が彼に教えるなど、順調に勉強を重ねていく。

第一次世界大戦中に起こった二月革命でロシアの君主制は崩壊し、民衆蜂起がはじまる。この頃、国の騒乱の中で落ち着いて音楽活動ができないことに不満を持ち、アメリカ亡命を決める。亡命の途中日本にも寄港していて、東京・横浜ではリサイタルまで行っている。

亡命後、ベルリン、パリを経て、最終的にソ連へ帰国するが、帰国後は国の芸術統制政策のもとで、多難な人生を送ることとなる。

音楽の特徴は、革新的でありながら抒情的なメロディ、形式などは古典路線を守りつつ、近代的な和声(不協和音など)も入れていることなどが挙げられる。

あらすじ

舞台はイタリア。ヴェローナの名門モンタギュー家キャピュレット家は、先祖代々揉め事が絶えない仲。ある日、モンタギュー家のロミオは友人とキャピュレット家の仮面舞踏会に忍び込み、キャピュレット家の一人娘と知らずに、ジュリエットと恋に落ちてしまう。

ロミオは恋した相手が敵の人間であることを知り、ロレンス修道士に相談をする。修道士は二人の恋が両家の争いに終止符を打てるのではないかと考え、秘かに結婚式を挙げてくれた。

しかしその帰り道、ささいな小競り合いから、キャピュレット夫人の甥ティボルトロミオの親友であるマーキューシオを殺してしまう。ロミオは逆上しティボルトと決闘、はずみで彼を殺してしまう。ロミオは永久追放となる。

悲しみに暮れるジュリエットに、父は別の男と結婚する事を命じる。
結婚したくない彼女は、ロレンス修道士に助けを求め、ロレンスはジュリエットに「2時間仮死状態になる薬を飲み、死者として埋葬され、目覚めたところに知らせを受けて迎えに来たロミオと駆け落ちする」という秘策を持ちかけた。

計画通りにジュリエットは薬を飲んだが、ロミオジュリエットが死んでしまったと思い込み、失意のうちに毒を飲む。直後にジュリエットが目を覚ますが、息絶えたロミオを見てショックを受け、彼の後を追う。

両家はまだ10代の大切な跡取りを失ったことを嘆き、哀しみの中和解を誓い合った。

聴きどころ

今回はプロコフィエフのバレエ用に書かれた音楽を聴きます。全部で52曲書かれていますが、抜粋してよく演奏される組曲が3つあります。まずは音楽を聴いて、その後該当するバレエ場面も観てみましょう。

1)「騎士たちの踊り」

仮面をつけて忍び込んだキャピレット家の舞踏会の曲で、一番知られた曲と言ってよいでしょう。大太鼓や低音楽器が拍を刻む中、執拗に続く弦楽器の付点音符、最後の終止形の血が飛び散るかのような不協和音が、この先の悲劇を予感させます。

Sergei Prokofiev. Romeo and Juliet. Dance of the Knights / Teodor Currentzis, musicAeterna

Romeo and Juliet – Dance of the Knights (The Royal Ballet)

2)ロミオとジュリエットのパ・ド・ドゥ(二人の愛の場面)

何度も出てくる、いわゆる「恋の喜び」のモチーフです。
楽譜を初見するとわかるように、メロディの跳躍が大きいのが特徴です。こんなにぼんぼん飛ぶメロディは私が知る限りありません。クラリネットで吹いてもちょっと違和感を感じるのではないでしょうか?この突飛な跳躍は、恋の始まり期に特有の浮遊感を表していると思います。

 

3)ティボルトの死

ものすごい高速の弦の刻みで始まり、血気盛んな若者がじゃれ合うような音楽が、15回のティンパニで空気を一変させます。このティンパニはティボルトが絶命するカウントダウンだと言われています。
その後葬送行進曲を想わせる、「タン・タンタンタン」というリズムが不気味に鳴り響き、ホルンが痛みを伴う調べをffで聞かせます。泣き叫ぶ人、恐れて逃げる人、騒然とした広場が目に浮かびます。ものすごく「語っている」音楽だと思います。

Prokofiev Romeo and Juliet — Tybalt-Mercutio-Romeo fight scene (Macmillan)

*動画では、まず金色の親友が殺されます。(6分10秒頃)この辺りから見るのでよいです。その後、怒った白いロミオと赤のティボルトが決闘します。

 

以上3曲、代表的なものをあげてみました。

もし興味がわいたら、飛ばしながらでいいのでバレエ全編を見てみてください。
動画はバレエの名門「ロシア・マリインスキー劇場」の公演です。
この劇場も侵攻に反対して英国出身のプリンシパルが退団するなど、色々動きがあったようです。

あらすじで書いた内容以外に、2幕にカーニバルのシーンがあり、いろんなダンスが見られます。私は白黒の衣装を着た人たち(多分ピエロ)が踊るリンボーダンスのような曲(1:06:54あたりから)がお気に入りの1つです。あなたの気になる曲が見つかったら「何分何秒からの曲」とメモって後で教えてください!