ピアノ指導に挟めるおすすめ「ソルフェージュ」
今日は視点を変えて、楽器のレッスンに挟むソルフェージュ要素についてです。
レッスンが上手くいっている時は必要ないのですが、まぁ、そんなに甘くはありません。
体験談を交えて具体的なレッスン例をあげてみます。
20代の失敗談
大学を出てすぐに、某音楽教室のピアノ個人指導をしていたことがあります。
一挙に30人近く見ることになり、少なからず有頂天になっていましたが、すぐに厳しい現実と向き合うことになります。
憧れていた生活なのに…楽しくない。
一番問題だったのは指定テキストが使いこなせなかったことでした。
気づけば自分の引き出しは空っぽ、保護者からのクレームも厳しくて、一年で限界がきました。
圧倒的に足りない経験、更に勉強不足が招いた当然の結果だったと思います。
30代のレッスン
その後留学。ハンガリーと日本のソルフェージュを研究した後に、再度講師生活がスタートします。
以前の失敗は少なからず影を落としていて、子どもの生態を理解している自信が全くありませんでした。
そこで、教えながら通信で児童学の勉強を始めることにしました。
マイペースの勉強は7年続いて、わらべうたに関する卒論をまとめ、勢いで幼稚園の免許もとりました。
レッスンに話を戻すと、子どもたちは異なる苦手を持っていましたので、それぞれ違うアプローチが必要でした。
また『すらすら弾けるのに退屈な音を出す子』もいて、これは何より難しい問題でした。
生き生きとした音を出してもらうには、どう働きかけたらよいのか?
声楽科だった私にとっては「歌う」という手段が使えて、それはそのまま「ソルフェージュ」へとつながっていきました。
強みを知る
教える為には全方位勉強する時期があり、その後は自分の強みを意識し、それを拡張することで進んでいく時期がきます。
一般的な強みを書き出してみると
- 鮮やかなテクニック
- 豊かな表現力
- 作曲家や作品への深い知識
- 豊富な引き出し、曲を沢山知っている
- 子どもの成長や発達段階を理解している
強みがわからないと自信が持てず、それが相手にも伝わってしまいます。
自分の強みを知ると、ぶれずに堂々と言葉を選べるようになります!

救世主だったソルフェージュ
次は、強みを強化すれば安泰かと思うとそうでもなかった…という話です。
レッスンを続けていると、自分の強みで引っ張るにも限界があり、更に仕掛けが必要だと気付かされます。
よく練習する子ばかりではありませんし、調子も様々ある、レッスンが先週の復習だけではもったいないと思い、取り入れたのが短いソルフェージュタイムでした。
練習してこなくてもできる、出来ると嬉しいけど出来なくても困らない、5分で終わる、中心は楽器のレッスンですし、必要なのは余力で出来る課題ということになります。
以下、いくつか例をあげます。
リズムを即興で作る
最初にカードを4枚並べて叩く。次にどこか1枚を抜いて、その空白を自分で考えて叩いていく。リズムパタンの暗記、即興力が養える。
和音当てクイズ
任意の和音をピアノで鳴らしどんな響きがしたか答える。まずは長三和音と短三和音の区別からスタートさせ、判別できるようになったら減三和音も足す。聴くことは小さい時代にこそ沢山やりたい。
譜読み
今レッスンで弾いている楽譜を1小節ずつ先生と交互に読み合う形で読んでいく。読譜が苦手でも負担が半分になるので、読む気力がちょっぴり増す。特定の音だけ探す「○探しゲーム」もお勧め。
細かなパッセージ
16分音符など細かな音符が連続する部分だけを抜き出し音読する。「もう少し早く読める?」「できたね、もうちょっと早くしよう!」など、徐々にスピードをあげていくと誰でもワクワクできる。
よく知っている曲に伴奏を付ける
子どもに簡単ですぐ弾ける童謡を弾き写しさせ、先生は即興で伴奏をつける。急に連弾タイムになり、同時に伴奏付けは「ここにはこの音がしっくり!」という和声感を育ててくれる。
ソルフェージュの意義に気づくのは教え出してから?
ソルフェージュは初心者のトレーニングではなく、音楽をする人が常に無意識でやっていることです。
演奏を工夫したい時は「ソルフェージュをするとよい」と言われますし、和声で音が浮かばない時は「曲を聴くことと、ソルフェージュをすることかな」とアドバイスされます。
自分では役立っているかどうかピンと来ないことも多いのですが、他者だとよくわかります。
私も教え子の観察から「ソルフェって本当に意味があるんだ」と再確認できました。
そういう意味では、教え出してはじめてソルフェージュの本当の意義に気づくのかもしれません。
◎ソルフェージュ教室・ラソラ◎
千葉県柏市で音大受験準備レッスンをしています。


