楽典の移調問題、ケアレスミスをなくすには?
あんなに気をつけたのになぜ?!
「移調」のミスを減らす為に何をしたらよいのか?
解き方を整理していきます。
手順の検証
*これから書いていく解き方は、音楽系学校受験のペーパーテストで出題される「移調」問題についての話です。
「移調」は応用問題で、それまでに勉強したものが層になって出題されます。
まず手順を決めて、常に同じ順番で解くことでスピードが上がっていきます。
参考までに私の手順を書きます。
手順と時間配分
おおよその時間配分を%で表しました。
1)小節線を引く(5%)
2)音移動前の下準備(20%)最も重要!
3)音の移動(30%)
4)棒を引く(5%)
5)臨時記号をつける(20%)
6)音程の再確認(15%)
7)アーティキュレーションや楽語などを書き込む(5%)
1)小節線を引く(5%)
まずは入れ物となる箱作りから、音部記号、拍子や調号を書き入れ、小節線を区切ります。
好みで区切るのではなく、問題とそっくり同じになるように書き写します。
幅広の小節があれば広めの箱を確保するようにすると、音符が格段に書きやすくなります。
2)音移動前の下準備(20%)
ここが一番の頭の使い所です。以下の2点を問題に書き込みます。
a)重要だと思うことをどんどん書き込む
「なんでこんな凡ミスしたんだろう?🤔」と不思議に思うことはありませんか?
考えた痕跡を辿ることが出来ると間違えた原因が推定できますよね。
「調号を用いずに」「減五度下に」といった指示にアンダーラインやマルを付けたり、移動させる調名を書いたり、どんな些細なことでも書き込みます。
これが後で見直す時にかなり役立ってくれます。
b)臨時記号に矢印を付ける
親切臨時記号(元の音に戻る時の注意喚起の臨時記号)は△、その他の臨時記号には上がったら↑、下がったら↓と矢印をつけます。
ダブルシャープやダブルフラット、♯系♭系の調で上がり下がりが変わる「ナチュラル」には特に注意します。
ここでわからなくなる場合はこの先が解けないので、変化記号を復習してから再チャレンジです!
3)音の移動(30%)
最もうっかりミスが出やすい工程なので、時間配分も多めにしています。
「○調にしなさい」「○度下へ移動しなさい」など、問題の指示はいつも違いますが、長・短など気にせず指定された度数分だけ移動させます。
例えば長3度なら「3度」移動させるだけです。
一音ずつ「3度、3度」と数えるのではなく、先頭の音を決めたらあとは「2度上がった、次は5度下がった」と横のラインを辿っていくと早く書けます。
なお、この時点で臨時記号は書きこみません。
まずはアウトラインを決めて詳細は後で整えます。
4)棒を引く(5%)
移調先によっては棒の方向が変わるのでそこには注意します。
必死にならずに、平たく全体を眺める感じでいくとよいです。
5)臨時記号をつける(20%)
2)で付けた「矢印」を、移動させる先の調に変換していきます。
また「調号なしで書け」と指示がある場合はこの段階で臨時記号を書き入れます。
6)音程の再確認(15%)
全ての音を確かめたいのですが、大抵そこまでの時間は残っていませんので、以下の4点に絞ってチェックします。
優先度の高い順に書いたので、時間が足りない時には上から順番にやれるところまでチェックするのでもいいです。
- 小節の先頭の音(少なくとも何小節にも渡るミスが防げる)
- 2)で矢印がついた音(一番ミスしやすい箇所)
- 跳躍した音(ズレるのはやはり跳躍した音)
- 音型(ターンなど「型」が合っているか)
7)アーティキュレーションや楽語などを書き込む(5%)
速度表示、スラーやスタッカート、強弱・表情記号、書かれてあるものは執念🔥をもって1つも漏らさず描き写します。
「描き写す」と書きましたが、まるで模写するように全体を眺められると取りこぼしが減ります。
これが出来るようになると、普段の楽譜でも目に飛び込んでくる情報が増えるという嬉しい特典付き♪です。
いかにしてスピードを上げるか?
「移調はものすごく時間がかかって苦手」という声をよく聞きます。
どなたにもお勧め出来ることは2つあります。
あ)「調」や「音程」の暗記
「Edurは♯何個だったかな?」と考えたり、「これは長6度かな、短6度かな?」と数えたりしている時間をなくすためです。
い)3度や5度が目で見ただけでわかるようにする
3度と5度がぱっとわかると、前後に位置する2・4・6度も簡単に判別できるようになります。
この2つが出来るようにするだけでも、かなりのスピードアップが見込めます。
◎ソルフェージュ教室・ラソラ◎
千葉県柏市で音大受験準備レッスンをしています。