へ音記号が読めない時はどうすればよいの?
ピアノを習っていると避けて通れないへ音記号。
自然に読めるようになると思ったらそうでもなくて、大人になってからも苦しむ人が沢山います。
ほんの少しでも改善する方法はないのか?自分で出来る勉強法について書きました。
まるで暗号、線と点だけ?
まず最初に、楽譜をざっくりとした視点で眺めてみますが、楽譜は5本線の上に黒い●が不規則に散らばっているもの。
もちろん棒も付きますが、音の高さを示すのは線と点だけです。
これだけだと何がなんだかわからない!というのは当然で、水先案内人が登場します。
この案内人の指示に従っていれば、読み間違えてしまうことはありません。
「へ音記号」が読みにくい理由の多くは、ト音記号読みに縛られていることで、この思い込みを壊す必要があります。
ポイントは2つです。
1.楽譜は「ト音記号読み」という思い込みを消し去る
2.頭を柔らかくして、音程でも読んでみる
五線を自由に読んでみよう
それでは実践にうつります。
これは普段生徒たちと一緒にやっているトレーニングと同じもので、出来るようになる時間は人それぞれ異なりますが、どなたでも読めるようになりました。
問1)次の音群の開始音を「シ」として読みなさい。(音の高さはなし、唱えるのみでOKです)
<答え>
音階だから簡単でしたね!「シドレミファソラシ」が答えです。
さて、下の譜例を見てください。シドレミファソラシと読むためにどんな音部記号をつけたらよいか考えてみました。先頭にへ音記号をつけるとあら不思議、「シドレミファソラシ」になりました!
さてさてこれってつまり・・・
「シドレミファソラシ」と読めた人は、「へ音記号で読めちゃった!」ということになります。
思ったより出来る「頭の体操」のようなものです。
続けてみます。
問2)問1の音群の開始音を、「ラ」として読みなさい。
<答え>
先に答えを言ってしまうと、これはアルト記号でよんだ場合の読み方になります。
問3)問1の音群の開始音を「ミ」として読みなさい。
→「ミファソラシドレミ」になります。
(譜例は載せませんが、ソプラノ記号でよんだ読み方になります。)
このように、開始音を任意に読み替える脳トレを、毎日でなくともよいので1ヶ月続けてみてください。
常に「ト音記号」が優位だった頭の中が自由になり、やがてへ音記号のみならず、どんな音部記号も読めるようになります。
音程で読んでみよう
音階だけだと実際の曲は読めないので、次は音程で読み進めるトレーニングをはじめます。
「先生、長3度とか考えるの大変です😅」
その通り、そんなことはしなくていいのよ、長とか短とかは放っておきましょう。
3度下がった、5度上がった、アバウトでよいので音の幅に注目してみます。
バッハの「インヴェンション第1番」を例題にします。
問5)次の曲を「ド」以外のさまざまな開始音で読みなさい。
<答え>
「レ」から読むと、「レミファソミファレラーレードーレーミ」
「ミ」から読むと、「ミファソラファソミシーミーレーミーファ」
「ド」から読むのではないとなると、読み慣れたト音記号読みができなくなるので、結局音の幅を見て読むしかなくなります。
これがとてもよい練習になります。
やがてどの音からも読めるようになります。(無論、たどたどしい時はありますが)
読み方のコツは、まず隣り合っている音(順次進行)と飛んでいる音(跳躍進行)を瞬時に判断することから。
それが判断出来るようになったら、跳躍進行を細かく判断します。
具体的には3度は楽に読めるので、4度以上飛んでいる音に注意を傾けます。
ちなみに、3度読み(↑ドミソシレファラ・↓ドラファレシソミ)5度読み(↑ドソレラミシファ・↓ドファシミラレソ)が出来ることは、準備段階として必須なので、別で練習して唱えられるようにしてくださいね!
いくつかの音は覚える
ここまでやっても、見た途端に音名が浮かぶレベルまではあと一歩足りません。(涙)
そこで次に何をすべきかですが、とうとうこの時が来ました、いくつかの音の場所を覚えます。
どこでもよいので、1回につき1カ所と決めて、音を覚えていきます!
ここまでやった中で自然に覚えている音もあるはずなので、難なく読める音を1つずつ増やしていけます。
最終的には五線の中の音はパッと音が言えるようにします。
その頃には五線の外の音も、なんとなくカンが働いて読めるようになっているはずです。
カナふりは逆効果かも?
ちょっと耳の痛い話を最後に書きます。
私は音符にカナをふっている人で、すらすら読めるようになった人を知りません。
どうしてなのかと考えてみたのですが、カナをふった時点で、脳がカナを読むように切り替わるからだと思います。
「見る→思い浮かぶ」と「見る→フリガナ→読む」はやっぱり違う。
フリガナは、直感的に読もうとする脳の邪魔をしてくるのです。
長年カナを頼りにしてきた人にとっては苦しい要求になりますが、まずは「段が変わった最初の音だけ」もしくは「いつも間違える音だけ」など、限定して書くようにしてみてください。
ゆっくりでも、止まってもよいので、フリガナから自由になりましょう。
その方が音楽も自由に踊り出します。
◎ソルフェージュ教室・ラソラ◎
千葉県柏市で音大受験準備レッスンをしています。