音楽小学校(2)

前回、ハンガリーの「音楽小学校」について書きましたが、その「歌」の時間についてもう少し書いてみます。

授業の題材は民謡、中でも「わらべうた」です。
わらべうたが子どもの教育に良い理由は以下のとおりです。

  • 自国の音楽言語
  • 短い、つまり覚えやすく、理解しやすい
  • 形式が単純で、子どもにもわかる
  • テンポが速すぎず遅すぎず、ちょうどよい
  • 遊びの要素があり、歌っていて楽しい

教え方は、先生の声頼り。
特に低学年は、耳からの学習が先で、五線の読譜は後回しでした。

また、音取りに楽器を用いません。
私が見学した授業では先生たちは皆「音叉」を使っていて、教室にピアノがあっても触りませんでした。
音程がつかみにくい箇所は、ハンドサイン(イギリス発祥の手で階名唱を教える方法)で教えていました。
教える側も習う側も声だけが頼りなので、『聞く力』が育つ条件が揃っていると感じました。

発声に関して興味深かったのは、やさしい「声」で教えることで、子どもたちの発声がソフトになったことです。
子どもは大きな音がすればそれに負けじと声を張り上げたりしますが、やさしい「声」で教えることでこれほど発声が変わるものかと驚きました。
もちろんハンガリーでも、興奮して怒鳴って歌う子はいます。そういう状況は万国共通です。
しかし、先生が「小さい声でいいからきれいな声をだそうね!」と、微笑みながら声をかけて、徐々に子どもの発声を変えていっている姿は新鮮でした。

留学前は、音取りでいつもピアノに手が伸びていた私でしたが、今はピアノに頼らなくなりました。
ピアノがなくても自分の中で音を鳴らし、読譜をする時も心の中で音が鳴らすように心がけるようになりました。

やってみると出来ないわけではない。なぜあれほどピアノに頼っていたのか?
それはとても大きな気づきだったと思います。

◎ソルフェージュ教室・ラソラ◎

千葉県柏市で音大受験準備レッスンをしています。

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