合唱団の思い出も第三弾になりました。

ハンガリーには「魔法の手」を持つ合唱指揮者が何人かいたのですが、ウグリン先生もそのうちのひとりと言われていました。日本にも多くの教え子がいて、幾度も来日された方です。先生は指揮もソルフェージュも教える方でしたが、私が知るのは長年先生が家族のように大切にしたジュネス合唱団における姿です。

先生の指揮は、ひとことでいって熱量を感じる温かい指揮です。厚みのある大きな手から、いくつもの素晴らしい音楽が生まれました。みんなが上手に歌えていると、指揮の動きがどんどん小さくなり、最後は指先の動きにまで集中させられました。その時生まれる音楽は本当に美しく、未熟だった私を大きく揺さぶりました。

特に先生が振るコダーイ作品はコントラストがはっきりしていて、その人柄通り情熱的でした。最初は「これがコダーイ作品なのか」と思っていましたが、他の人が振るのを聞くと必ずしもそうではなく、先生ならではの表現だとわかりました。

歌う前には丁寧に説明をされて、痛みも喜びもすべて嘘でないものを要求されました。よく練習で雷を落とされましたが、権威的に振る舞うことは決してなく、常に深い愛情をもらっていると感じました。オケ付きのミサ曲に賛助出演する時には、オケの指揮者をオーバーなくらいに持ちあげて、自らは一番端に目立たないように立ち(とはいえ大きいので目立ってしまうのですが)団員に混じり歌っている、そんな謙虚な一面もありました。

残念ながら2013年に亡くなられてしまいましたが、代表曲の1つといえるのが「Szép könyörgés(心からの嘆願)」というKodályの曲です。先生が振ると最後7小節間の「Amen」は指揮から目が離せず、震えるほどに高まりました。まさに「魔法の手」の為せる業でした。

◎ソルフェージュ教室・ラソラ◎

千葉県柏市で音大受験準備レッスンをしています。