恩師であり父でもあるオスカー先生

ブダペスト時代最も世話になったのが、コダーイの教えを直接受けたことがある、作曲のオスカー先生です。

先生は師というよりはまるで父のような存在でした。
知的で物静かな紳士ですが、一方でいたずらっ子のような無邪気な面もあり、レッスン中はよく冗談もおっしゃっていました。

多くの本を書いていた先生ですが、中でもヒットしたのが録音された音源を聴きながら名曲の和声を学ぶ本「Hangzó Zeneelmélet」です。
何刷もされて、私が帰る頃には音源がカセットからCDにレベルアップしていました。私も自分の生徒に使い続けていて、すでに3冊目です。

先生の好きな作曲家はモーツァルトとバルトーク。私が馴染み薄かったバルトークも、先生のおかげで興味を持てました。オペラ「青髭公の城」はレッスンをきっかけに知り、何度もオペラハウスに観に通ったものです。

先生のレッスンはハンガリー語でした。
留学当初はコミュニケーションをとるのが大変で、先生もドイツ語喋ったり、英語喋ったり、最後は筆談したり。なんともどかしかったことか!
それでも先生は嫌な顔ひとつせず、私の話に耳を傾けてくれました。

オスカー先生は間違いなく私のロールモデルです。
先生の忍耐強さを思い出し、我が身を省みることがあります。

ご自宅でのスナップ写真より。